2026年7月4日土曜日
ちびっこ聖徳太子のいらっしゃいませ
門の前に立っていたのは、少し不思議な子どもでした。
大きな瞳をきらきらさせて、ちいさな手をこちらへ差し出しています。
「いらっしゃいませ」
その声は、春の風みたいにやわらかくて、古いお寺の石畳にふわりと広がっていきました。
頭には立派な冠。
着ている衣は、白と紫を重ねた上品な色合いで、ちびっ子なのにどこか気品があります。
けれど、むずかしい顔はしていません。
歴史の教科書に出てくる偉い人というより、今日ここに来た人を笑顔で迎えてくれる、かわいい案内役のようでした。
背景には、古いお寺の塔が見えます。
木の門、石灯籠、桜の花びら。
どれも静かで、やさしくて、時間がゆっくり流れているようでした。
聖徳太子と聞くと、どうしても立派な政治家や、遠い昔の人物という印象があります。
でも、このちびっ子の聖徳太子くんを見ていると、歴史が少し近く感じます。
むずかしい時代にも、人を迎える心や、人の話を聞こうとする気持ちは、きっと大切だったのだろうと思えてきます。
小さな手を広げた姿は、ただの歓迎のポーズではありません。
「ここから入っておいで」
「昔の物語を、少しだけ見ていかない?」
そんなふうに話しかけているようにも見えました。
歴史は、難しい年号だけではなく、その時代に生きた人の願いや空気も残しています。
立派な寺院の前で、にこにこ笑う小さな聖徳太子くん。
その姿を見ていると、遠い飛鳥の時代が、やさしい絵本の一ページみたいに開いていく気がしました。
今日もこの子は、門の前で誰かを待っています。
桜の花びらが舞う中で、ちいさな手を差し出しながら。
「いらっしゃいませ」
そのひと言から、かわいくて少し神聖な、歴史の散歩が始まるのです。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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