2026年7月13日月曜日

冥界の王ハデスが迎えてくれる場所

ちびっこハデス

青白い炎が静かに揺れる、冥界の宮殿。

大きな石柱のあいだから、黒と紫の衣装をまとった小さな王が姿を現しました。

彼の名は、ギリシャ神話に登場する冥界の王ハデス。

本来なら少し怖い存在のはずですが、目の前にいるハデスは、どこかかわいらしく、落ち着いた笑顔を浮かべています。

片手には、紫色の宝石が輝く立派な杖。

もう片方の手は、宮殿へ案内するように、こちらへやさしく差し出されていました。

「いらっしゃいませ」

声に出してはいないのに、その姿を見ていると、そんな言葉が聞こえてくるようです。

宮殿の奥には、青い炎と薄い霧が広がり、その向こうには静かな冥界の城が見えています。

少し離れた場所では、三つの頭を持つ番犬ケルベロスも、訪れた客をじっと見つめていました。

恐ろしい怪物というより、今日はハデスと一緒に入口を守る、少し不思議な看板犬のようにも見えます。

冥界と聞くと、暗く寂しい場所を思い浮かべるかもしれません。

けれど、この宮殿には冷たい怖さだけではなく、長い時間を静かに見守ってきた王の落ち着きがありました。

ハデスは死者の国を治める神ですが、すべてを乱暴に奪う神ではありません。

自分の国の秩序を守り、決められた役目を静かに果たし続ける王でもあります。

かわいい姿になっても、その堂々とした雰囲気だけは変わりません。

黒い衣装、金色の装飾、紫に輝く宝石。

小さな体の中には、冥界すべてを治める王らしい威厳が残されています。

もしも冥界の入口で、こんなハデスが迎えてくれたなら。

少しだけ緊張しながらも、その差し出された手を取ってみたくなるかもしれません。

その先にあるのは、恐ろしい闇ではなく、誰にも知られていない静かな神話の世界なのです。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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