2026年7月1日水曜日

小野小町の小さな春の招待

ちびっこ小野小町

春の光が、御簾のすき間からそっと差し込んでいました。

やわらかな風に乗って、桜の花びらが一枚、また一枚と舞い込みます。

その奥に、色とりどりの十二単をまとった小さな女の子が立っていました。

彼女の名は、小野小町。

けれど、この日の小町は、遠い昔の歌人というよりも、春の物語から抜け出してきた小さなお姫さまのようでした。

長い黒髪は光を受けてつややかに流れ、髪飾りには桜の花がやさしく咲いています。

紅、桜色、紫、若草色。

重なり合う衣の色は、まるで春そのものをまとっているようでした。

小町は、こちらに向かって小さな手を差し出します。

「いらっしゃいませ」

そんな声が聞こえてきそうな、やさしく上品な仕草でした。

部屋のそばには、巻物や和歌の紙が置かれています。

そこには、まだ誰にも読まれていない言葉が眠っているようでした。

花のこと。

春のこと。

誰かを待つ気持ちのこと。

小町はきっと、そのひとつひとつを大切に拾い上げて、歌に変えていたのかもしれません。

外の庭には、赤い橋と淡い桜が見えます。

遠くの景色は少しかすんでいて、現実というより、昔話の中の春に近い場所でした。

そこに立つ小さな小町は、華やかなのに騒がしくありません。

かわいらしいのに、どこか静かな品があります。

ただ明るく迎えてくれるだけではなく、見る人の心まで、ふわりと春の中へ招き入れてくれるようでした。

昔の美しい歌人も、最初から遠い存在だったわけではないのかもしれません。

花を見て、風を感じて、誰かを思いながら、そっと言葉を選んでいた一人の人。

このイラストの小町は、そんな遠い時代のやさしさを、かわいい姿で届けてくれます。

桜が舞う部屋の中で、小さな小野小町は今日も微笑みます。

そして、こちらに手を伸ばして、春の物語へ静かに招いてくれるのです。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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