木々の緑に囲まれた古い神社。石段のそばに、にっこりと笑う小さな妖怪が立っていました。
その名は、一貫小僧。
頭のてっぺんがつるりとした、かわいらしい姿。紺色の着物に身を包み、片手には不思議な黒い玉を抱えています。そして、もう片方の手をこちらに差し出し、まるでお店の主人のように元気よく迎えてくれます。
「いらっしゃいませ!」
明るい声が、静かな境内に響き渡りました。
差し出された小さな手には、訪れた人を歓迎する気持ちがいっぱい詰まっています。少し不思議で、どこか懐かしい神社の風景も、一貫小僧の笑顔によって、いっそう温かな場所に感じられます。
そばには赤い提灯が揺れ、木漏れ日が石畳を照らしています。遠くには青白く光る不思議な炎。妖怪の住む世界と人間の世界が、ほんの少しだけつながったような光景です。
妖怪と聞くと、怖い姿や人を驚かせる存在を思い浮かべるかもしれません。しかし、こんなふうに笑顔で迎えてくれる妖怪がいたら、出会うのが楽しみになりそうですね。
一貫小僧の小さな体から伝わってくるのは、飾らない親しみやすさと、誰かを迎える喜びです。
忙しい毎日の中では、知らない人への挨拶や、ちょっとした笑顔を忘れてしまうこともあります。けれど、「いらっしゃいませ」「こんにちは」と声をかけるだけで、その場の空気が少し明るくなることがあります。
一貫小僧は、そんな当たり前の大切さを教えてくれているのかもしれません。
もし古い神社の石段で、この小さな妖怪に出会ったなら、あなたはどんな言葉を返しますか?
きっと一貫小僧は、あの大きな瞳を輝かせながら、もう一度、元気いっぱいに迎えてくれることでしょう。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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